東北大、アルツハイマー型認知症に対する超音波治療の医師主導治験開始

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東北大学は、低出力パルス波超音波(low-intensitypulsedultrasound:LIPUS)がマウスのアルツハイマー型認知症モデルにおいて認知機能低下を抑制する可能性があることを見出し、6月より、臨床の現場で探索的医師主導治験を開始すると発表した。

同研究は、東北大学大学院医学系研究科循環器内科学分野の下川宏明教授、進藤智彦助教、江口久美子医師、東北大学加齢医学研究所老年医学分野の荒井啓行教授らの研究グループによるもので、6月から、軽度アルツハイマー型認知症の患者を対象として、プラセボ治療群を対照群とする単施設盲検無作為化比較試験(探索的医師主導治験)が東北大学病院にて開始される。

アルツハイマー型認知症は、現状では根本的な治療法がないことが大きな課題となっており、治療は家族や介護者からの支援的ケアが主流である。

内服薬は、根本的な治療薬ではなく、神経伝達物質に作用する「症状改善薬」が用いられているが、アルツハイマー型認知症を根本的に治療できる可能性を持った「疾患修飾薬」の開発が急務となっている。

一方で、近年、アルツハイマー型認知症は、動脈硬化を主体とする血管病と共通の危険因子を有することが分かった。

動脈硬化の危険因子は、長期間暴露されることにより血管内皮機能の障害をもたらし、さまざまな神経疾患の病因と密接に関連することが報告されている。

血管内皮細胞は、ニューロンやグリア細胞など多様な細胞種と共に、複雑な神経ネットワークを構築しており、同研究グループは、この血管内皮機能の修復・改善を治療標的とすることを、アルツハイマー型認知症の予防または治療として応用できないかと考えたという。

同研究グループは、細胞・組織障害が非常に少ない低出力パルス波超音波(low-intensitypulsedultrasound:LIPUS)を狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患に用いることで、超音波が血管内皮細胞表面の窪み構造(カベオラ)を伸展させ、細胞膜表面の機械刺激受容体を刺激し、内皮型一酸化窒素合成酵素の発現および血管新生を誘導することを報告している。

この成果をもとに、同研究グループは企業と連携して経頭蓋超音波治療装置を開発した。

この治療装置用いて、6月から東北大学病院にて、軽度アルツハイマー型認知症の患者を対象として治験が開始される。

治療は3か月ごとに行い、全観察期間は18か月となる。

主な有効性評価項目は、認知機能試験と行動試験で、安全性の評価として頭部MRI検査が実施される。

この治験の結果をもとに、将来的には検証的治験の実施、薬事承認申請を目指すという。

この治療法の有効性が認められれば、世界初のアルツハイマー型認知症に対する「疾患修飾療法」として、革新的な治療装置となることが期待されるということだ。

(シマダマヨ)

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