2024年8月30日に『X』の利用停止を命令したブラジル最高裁ですが、2024年10月8日に利用の再開を決定しました。約1ヶ月余りの利用停止期間にはブラジル最高裁の決断に対し、ブラジル国内で大規模なデモ活動も起こっています。
そもそもなぜこのような動きがあったのか。
ブラジルの最高裁はXに投稿された「政治等に関する、偽情報やヘイトスピーチなどを拡散しているアカウント」を問題視していました。ブラジル国内では、極右的な思想でヘイトを煽っていたとされるボルソナロ前大統領 とブラジルの司法当局が対立していた社会情勢もあり、過激な情報発信に対する規制が強まっていたようです。
ついにブラジル最高裁はXに対し、極右勢力による偽情報等を拡散しているとみられる特定のアカウントを削除するよう要求しました。
しかし、Xを所有するイーロン・マスク氏は「言論の自由」が損なわれることを理由に、この要求を拒否しました。今年の4月6日、イーロン・マスク氏がXにて「恥を知れアレシャンドレ」と、モラエス判事を痛烈に批判したポストをしたことは話題になっていますが、 イーロン・マスク氏はブラジル最高裁の要求に対して、批判的な姿勢を示していました。
どうしてブラジル最高裁はこれほどまでに偽情報やヘイトスピーチを根絶させることに注力しているのか・・・それには、ブラジルのルーラ現大統領就任時の事件が関係しています。
ルーラ現大統領が就任した直後の2023年1月8日、「選挙に不正があった」という趣旨のフェイク情報によってボルソナロ前大統領の支持者が煽られ、ブラジリアの三権広場である「大統領府・国会議事堂・最高裁」を襲撃しました。
そのためブラジル最高裁は「フェイクニュースやヘイトスピーチは、国家を脅かす起爆剤になりかねない」という厳しい見方をおこない、不適切な情報拡散の根絶に注力していた・・・というわけです。
しかし、こうしたブラジル最高裁の考えと、イーロン・マスク氏が唱える「言論の自由」は拮抗し、結果としてブラジル最高裁の要求が通ることはありませんでした。
特定のアカウントの停止が認められないのであれば、ブラジル国内での利用を制限するしかない・・・という判断に至ったブラジル最高裁は、同国内における「X」のサービス停止を命じました。翌日の2024年8月31日からXへアクセスできなくなったと報じられています。(引用元:https://wwg.co.jp/blog/51705)
アカウント凍結命令を巡っては、Xオーナーの米実業家イーロン・マスク氏が「検閲」と批判し、司法と激しく対立。結局は、マスク氏が司法の決定に従う形で決着した。Xは「ブラジルへの復帰は誇りだ」とした上で、「事業を展開するあらゆる場所で、法の範囲内で言論の自由を守り続ける」と表明した。 最高裁によると、X側は一部のアカウントを凍結し、ブラジルでの法定代理人も復活。未払いだった罰金2860万レアル(約7億7000万円)も納付した。検察当局が「Xのサービス再開を妨げる理由はない」との意見を示したため、最高裁が即時再開を認めた。(引用元:https://news.yahoo.co.jp/articles/bf360700a8db2b5a5ead84d8153e4f8ae95a0657)
今回の騒動を受け、SNSの脅威と国を揺るがす力のあるサービスであると再認識させられました。
今やSNSの使用停止でデモが起きる世界となっていることに驚きを隠せません。
ブラジル最高裁が下した「X」利用停止もイーロン・マスク氏が主張する「言論の自由」もどちらも間違えではないだけに難しい問題だと感じました。
皆様はどのようにお考えでしょうか。ともあれ、人を傷つけるサービスであっては決してならないので使用する際は十分に注意していきましょう。